北京に到着してから早くも一か月が経ちました。
授業や学校での生活にも少しずつ慣れてきて、その日もいつものように食堂で夜ご飯を食べようとしていました。麻辣香锅といって、自分で好きな具材を選んで調理をしてもらいます。もし誰かが北京に遊びに来たとしたら、必ず勧めようと思うくらいお気に入りです。
いつもは辛い調味料を入れないで作ってもらうのですが、その日はそれを言い忘れ、少し辛めの味付けでした。初めて食べる味だったので一緒にいた友達にも共感してもらいたいと思い、麺を持ち上げようとしたとき、汁が飛んで目の中に入ってしまいました。痛い。痛くて左目から涙が止まりませんでした。
その時、後ろにいた女の人が「辛くて食べられないの?今言ってきてあげる」というようなことを(おそらく)言って私の器を持って調理の人に渡してしまいました。何が起きているのかよくわからない、とにかく目が痛い、中国語が話せない私...あたふたしている間にもスープを持ってきて「これ飲みな~」と渡してくれたり、「日本から来たの?日本だとあまり辛いもの食べないんでしょ?」と話してくれたり。そうこうしている間に調理場から辛くなくなった私の麻辣香锅が登場し、色々な人に心配されながらとてもおいしくいただきました。
おそらくその人の目に私は「辛い物が食べられなくて泣いている日本人」に見えていたのだなぁと思うと恥ずかしい気もしますが、お店の人だったのかも分からない人にこんな風に助けてもらう経験をしたのは人生で初めてで、とても感動しました。
(S)